2020 保坂毅:Takeshi Hosaka

 

 

保坂毅 ドローイング展 「展開図」

Takeshi HOSAKA new drawing exhibition “ net drawing ”

 

2020, 10. 10 ( Sat. ) ー 31 ( Sat. )

 

 

 

保坂毅コメント ( 2020 )

視点を変えるために、いつもと違う手順を踏んでみる。普段は支持体となる立体物を作成してからペイントする作品を多く制作していますが、一度その立体物を解体し平面化してみる。

展開図は天地が入り混じりとても奇妙な支持体として浮かび上がる。

 

保坂は2005年武蔵野美術大学大学院油画コースを修了しています。保坂はキャンバスの画面と側面という形体に注目して以降、支持体と画面、さらに作品と展示された空間の関係を探求し続けています。彼の作品では、視点の移動とともに焦点を結んだ図像は、3次元の支持体を2次元に還元する等の、重層的な絵画表現を展開しています。前回の2017年の個展「if else if」では、カラフルな色使いの作品が、さらに陰影をも含めた複雑な色彩空間を表現していました。今回のドローイング展では、支持体は2次元に限定されます。その制約の中で保坂は、展開図という手法で新たな試みを始めようとしています。フラットな画面は、シンプルな抽象画でありながらも、その本来の作品は私たち見る側の想像力の中で完成するのです。平面作品では天地左右が規定されていますが、保坂の想像した本来の形態では、その規定は当てはまらないことになります。とてもシンプルなことですが、その構造と図像と色彩を私たちが想像することで、抽象画の意味を問いかけるとともに可能性を提示してくれているように思います。また今回の個展では、画廊でのウォールドローイングも実施いたします。画廊空間がまさに展開図の作品となります。保坂の機知に富んだ、優しい抽象画をお楽しみください。