2012  坂井淑恵:Yoshie Sakai

 

坂井淑恵:Yosie Sakai

“ 水辺:Waterside ”

 

2012, Nov. 17 ( Sat. ) ー Dec. 8 ( Sat. )

 

 

 

 

 

坂井淑恵は1965年に千葉で生まれました。1990年代後半、坂井の絵画はその生き生きとした存在感で、今に繋がる日本の新しい絵画の幕開けを告げたのです。当初より“水”は彼女の作品の重要なテーマでした。2009年の私どもの個展では、水中という空間が明確な存在感・量感と共に明示されたものでした。2011年の個展ではその固まりの中に飛び込むと言う「行動」が表現されました。今回の“水辺”展ではその量感溢れる水と言う空間・場を中心とし、その周辺をも含む更なる広がりを持った空間が表現されています。

鮮やかな緑色の色彩とともに広がる地平の先に、一軒の家が見えています。その手前には川か池の様な水色のタッチ。そこに描かれている全ては、その輪郭を滲ませ、色彩やタッチも解け合う様に揺らいでいます。それが水底なのか、または水辺の蜃気楼・揺らぎなのかは定かではありません。しかし儚げというよりも、もう少し存在感のあるもののような気がします。坂井の画業は、90年代後半から08年までの他者や自己の混沌としたものを表現主義的に描いた作品、それから09年の統合・集約と言った作品となり、11年にはその固まりに飛び込むといった検証とも言うべき作品が連なっています。そして今回の作品は、再度その中心・水からその周辺を確認するというような作品群になるのです。抽象的な言い回しでもどかしいのですが、坂井の絵画には、彼女の視点・認識の変遷が刻み込まれ表現されているのです。何はともあれ、その美しい色彩とタッチをご堪能下さいませ。

 

 

 

 

 

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