2022  坂井淑恵:Yoshie Sakai

 

坂井淑恵:Yosie Sakai

“ 水遊び:play with water ”

 

2022, July. 2 ( Sat. ) ー 23 ( Sat. )

 

 

 

 

 

 

坂井淑恵の画家としてのキャリアは1990年代半ばに始まりました。1980年代初頭に世界同時的に発生したアートムーブメント、ニュー・ペインティング(新表現主義)の影響がようやく日本にも及んできた頃に当たります。ただ日本では海外とは異なり、絵画を含めた平面作品の復権と捉えた方がいいような気がします。あくまで関西地域からの分析・認識になりますが、1990年代初頭、まず森村泰昌さんの西洋美術史をコミカルに取り込んだ写真作品と松井智惠さんの少女の幻想を表現したかのようなインスタレーション的作品が注目されていました。その後村上隆・奈良美智・中原浩大さんが注目される中、彼らの少し前の世代のイケムラレイコさんにも注目が集まり始めていました。坂井淑恵は村上や奈良の次の世代、京都市立芸術大学から時代を担う画家たちが、自由な発想とスタイルでインパクトを持って迎えられた時代に当たります。ことに坂井淑恵は、その表現主義的な力強い描き方、シンプルな画面構成と鮮やかな色彩による身体的でコミカルな図像で大いに注目を集めたのです。

 

それから20年以上の歳月が過ぎましたが、坂井はそのクリエイションの質を維持し続けながら今日に至っています。では坂井の絵画におけるクリエイションとは?それは、人間が抱く様々な感情や思考をシンプルにキャンバスに定着させることであると思っています。欧米のニューペインティングおいては暴力・死・夢、それに歴史や神話といった寓意、いわば大きな物語をモチーフとしていました。しかし、坂井の絵画においてはあくまでも日常における普通の人々の感情や仕草などがイメージの源泉であることが特徴なのです。クローズアップされたシンプルな顔の表情が、不安や戸惑いといった感情を見事に私たちに伝えてくれます。また一見抽象的な風景画に見える作品いおいても、水溜りや雲に顔が描かれていたりするのです。風景画ように見える作品もまた人間の何某かの感情を表現しているのです。坂井の絵画における特徴的なモチーフがもう一つあります。頻繁に描かれている水が、重要な意味を担っています。それが意味するものは、わたしたちを取り巻く社会なのでしょう。私たちは時に溺れそうになりながらも、もがきながら泳いでゆく=生きてゆく、ということを暗示しているのでしょう。また前回の個展のタイトル「Mr. Head」でも察せられるよう、落語「頭山」などの文芸作品からもクリエイションの糧を得ています。坂井は様々なもの・事から貪欲に情報収集しながら、それらのデータを絞り込みシンプルな表現にまとめてみせます。それを可能にするのは、日本の短歌の感覚が坂井にもあるからなのでしょう。その為坂井の絵画はわかりやすさと同時に読み解くような深みも持ち合わせています。次回展の絵画たちも、皆様には十分ご納得頂ける内容になることでしょう!

 

 

 

 

 

 

Yoshie Sakai's career as a painter began in the mid 1990s. This was around the time when the influence of New Painting (New Expressionism), an art movement that emerged simultaneously around the world in the early 1980s, was finally reaching Japan. However, in Japan, unlike overseas, I feel that it is better to view this as a revival of two-dimensional works, including paintings. Yoshie Sakai is the next generation after Murakami and Nara, and falls in an era when painters of the era from Kyoto City University of Arts were welcomed with great impact for their free ideas and styles. In particular, Yoshie Sakai attracted a great deal of attention for her strong expressionistic drawing style, simple composition, and vivid colors that create a physical and comical image.

 

In the West, new paintings were based on violence, death, dreams, and allegories such as history and myths, or in other words, big stories. However, Sakai's paintings are characterized by the fact that the source of his images is the emotions and gestures of ordinary people in their daily lives. The close-up, simple facial expressions beautifully convey to us the emotions of anxiety and confusion. Even in works that at first glance appear to be abstract landscapes, there are faces painted in puddles of water or clouds. Works that look like landscapes also express some kind of human emotion. There is another characteristic motif in Sakai's paintings. Water, which is frequently depicted, plays an important role. What it means is the society that surrounds us. It may imply that we sometimes feel like we are drowning, but we struggle to swim = to live. As the title of his last solo exhibition, "Mr. Head," suggests, he also draws inspiration from literary works such as the rakugo story “ Mt. Head ”. Sakai greedily gathers information from a variety of sources, and then narrows down the data and summarizes it into a simple expression. For this reason, Sakai's paintings are easy to understand and at the same time have a depth that makes them easy to read. The paintings in the next exhibition will be more than enough to convince you all !

 

 

 

 

 

坂井淑恵的画家生涯开始于1990年代中期。这时,新画(新表)的影响到了日本,是80年代初在全世界同兴起的一场艺术运动。然而,在日本,与海外不同,我这应该视为包括画在内的二作品的复兴。虽然只是来自关西地区的分析和看法,但在20世90年代初,森村泰昌滑稽地融入西方艺术史的影作品和松井智惠仿佛表少女幻想的装置式作品首先引起了人的关注。后来,在村上隆、奈良美智、中原弘大等人受到关注的同,比他稍早一代的池村子也开始引起关注。坂井淑恵属于村上和奈良之后的那一代人,那个候,来自京都市立艺术大学的画家受到了开放性的迎,格也很有影响力。特别是,坂井淑恵以其强烈的表义绘格、简单构图和生的色彩,以及身体和滑稽的图标,吸引了大量的关注。

 

20多年后,坂井继续保持其作的量,直到今天。那么,坂井在他的画中所造是什么意思?我相信是简单地把人的各种情和想法固定在画布上。在西方,新的画以暴力、死亡、梦境以及史和神等寓言,或者话说,是大故事。然而,酒井画作的特点是,他的像来源是普通人在日常生活中的情感和姿。特写的、简单的面部表情向我漂亮地传达了焦和困惑的情。即使在那些乍一看是抽象景的作品中,也有在水坑中或云中画的。看起来像景的作品也表了一些人类的情感。在坂井的画中有一个特征性的主常被描的水发挥了重要作用。它可能意味着的是我的社会。可能意味着我会感到自己被淹没,但我们挣扎着要游泳=生活。有,上一次展标题"先生 “所暗示的那,他也从文学作品中汲取灵感,如落故事《山》。坂井婪地从各种事物和事中收集信息,同时缩些数据的范,并将其总结为简单的表。使之成可能的是,坂井也有一种日本唐卡的感。因此,坂井的画易于理解,同又有一种深度,使其易于阅读和理解。下一次展中的画作将足以服你所有人!

最好的候。