2017  西太志:Taishi Nishi 

 

 

西太志:Taishi Nishi

“ 指揮者:CONDUCTOR ”

 

2017, Aug. 26 ( Sat. ) ー Sep. 16 ( Sat. )

 

 

 

 

この春の京都芸術大学ギャラリー@KCUAのグループ展での個展形式での展示は、そのスケール感と絵画のバリエーションで、彼の力量が充分に発揮されたものでした。黒い部屋と題された展示ではまさしく真っ黒に塗られた空間に大作が10点、室内を埋め尽くすがごとく展示されていたのです。ドローイングのライブ感をそのまま拡大した様な彼のストロークは画面を覆い、時にコミカルな劇画の様に、また時には抽象的なパターンとして画面を満たしていました。大作によるこの展示は、西にとり現在の自分の可能性と力量を推し量るという意味で大きな成果を得たと思います。

それを経た今回の個展「指揮者」で彼は何を展示するのか?展覧会タイトル「指揮者」が朧けながらもその方向性を指し示しているように思えます。ある意味持てるものを出しきった感の有る前回の展示とは違い、コンパクトな今回の展示では抑制が効いた展示を指向しているのではないでしょうか。そのことにより展示のストーリーラインは整理され、各作品間の流れが繋がり、抑揚の効いた展示となる事でしょう。黒い部屋を描いたゴヤへのオマージュはそのままに、ゴヤの眼差しである社会への懐疑ではなく、現在の少年の不安と夢がないまぜになったダークでユーモアのある作品群が登場するものと思います。

西の作品に対峙した時、多くの方が作品内容に納得される事でしょう。その魅力は、ライブ感の有るストロークや、劇画タッチの画面とストーリーです。しかしよく見るとそれ以外にも日本人になじみの絵画構造が見え隠れします。それらを動員しながら、西はこの日本で描かねばならない事を明確に優しく表現しているのです。

 

 

 


 

 

西太志:Taishi Nishi

グループ展:Group Show

“ ラインズ:LINES ”

 

2017, Jan. 14 ( Sat. ) ー Feb. 4 ( Sat. )