横野明日香は1987年愛知県生まれ。2013年愛知県立芸術大学大学院美術研究科博前期課程
修了。名古屋を中心に制作しています。横野明日香は、キャンバスに勢いのあるストロークで描ききる力強い作風で知られた画家です。2014年に東京オペラシティアートギャラリーで開催された、今後注目される若手が集まった「絵画の在りか」展において、一躍「あのダムの作家!」と業界の一部で噂され注目を集めたのです。彼女のスピード感あふれる直線や曲線のストローク、シンプルなフォルムにまとめ構成された風景や静物は、見る者に胸が空くような潔さを与えてくれます。
しかしコロナ禍を経て2022年の「国際芸術祭
あいち2022」にて瀬戸の大地を描いた大作2点を発表して以降、彼女の作風にも変化が見て取れます。大作を描き切った経験は、自身の内面を表現できるより最適な筆致の探究へと向かいました。ストロークだけでは表現できない生命力や存在感をいかにキャンバスに定着させることが出来るのか。今回展示する「花束」や「丸めた紙」には、明治の画家高橋由一や岸田劉生の如き妙な存在感が表現されています。今どきなどとほくそ笑みながらも、その物質感と画面の充満度に心ざわついてしまいました。横野のオーソドックスなまでの絵画探究の姿勢は、ゆっくりではありますが確実に歩みを進めています。
2022年「STILL ALIVE 国際芸術祭あいち2022」愛知県美術館、2021年「現代美術のポジション 2021 ― 2022 」名古屋市美術館、2014年「絵画の在りか」東京オペラシティアートギャラリー、など。